牧野 真耶

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8/24/2024

猫との暮らし その2

不思議である。何度考えても。

昨年の5月から猫と暮らしている。毎日うちに来ていた野良猫を保護した。
一昨年の5月に近所で初めて彼女に出会ったが、警戒心が少なく、のんびり過ごしている姿に癒された。
その数日後からうちの庭に現れ始めた。

当初、食べ物は一切あげず無視していたが、なぜかロックオンされてしまったようで保護する流れになったが、なぜ彼女は私を選んだのか不思議でならない。現実的に保護することを決めてからご飯や水をあげ始めたのだが、毎日4回、ほとんど同じ時間に庭に現れた。彼女が来そうな時間に網戸を開け閉めして音を立てる。それが彼女と私の合図だった。彼女がやってきたのを確認して少し窓を開けると、当然のように入室してご飯を食べ、室内でしばらく過ごしたあと外に帰っていく。毎回帰る時はこちらを振り返り、まるで「ありがとう」と言っているようだった。「気をつけてね、人間の食べ物は食べちゃダメだよ」と言って送り出していた。心配でたまらなかった。

大雨の日も雪の日も、少し天候が落ち着いた隙をついてうちにやって来る。体をふいてやり、ブラッシングして寛いでもらう。そんなやりとりを続けていくうちに、彼女が私を信頼してくれていることを実感した。

お世話を始めてから懐くのは理解できるが、彼女に出会ってからご飯をあげ始めるまでに7ヶ月ほどかかっている。ペット不可物件に住んでいたため中途半端に無責任な世話をしたくなかったからである。それにも関わらず、なぜご飯をあげ始める前から彼女は毎日うちに来ていたのか。猫は人を選ぶというが、本当にそういうことがあるのだと驚いたことを覚えている。そしていまだに不思議だと感じている。当の彼女自身は「しめしめ:)」と思っているかもしれないが。

安心してひっくり返って寝ている姿を見ていると、お互いの判断は間違っていなかったと確信できる。この家を選んで正解だったと思ってくれていたら嬉しい限りである。